無料メルマガ【成功起業考察】 2010年6月4日配信

本文タイトル:取締役の義務と責任について。その1

新会社法が施行されてから、取締役が1名でも株式会社が設立出来るようになりました。

だから、「株主=取締役」という株式会社もけっこう多くなったわけです。

本来、株式会社の取締役というのは、会社の所有者である株主から経営を任されているという存在であり、会社の所有(株主)と経営(取締役)が分離しているのが特徴です。

しかし、「株主=取締役」という株式会社は、自分自身に「あなたに会社の経営を任せる!」という独り芝居をしているようなもので、本来の特徴である所有と経営の分離がなされていないのです。

だからかもしれませんが、取締役が会社や株主に対して負う義務や責任というものをあまり深く考えないような傾向にあるように思えます。

税的優遇を受けるためだけの1人会社を設立したようなケースなら、あまり深く考える必要もないのかもしれません。

しかし、会社が大きくなっていき、自分以外の取締役を置くことが必要になった時には、取締役への就任を依頼する人物に取締役の義務や責任というものをよく理解させておく必要があると思います。

または、逆に、そのような会社から「当社の取締役になってくれないか?」と、依頼された時には、取締役の負う義務や責任というものをよく理解してから受けるべきだと思います。

ということで、今回から「取締役の義務と責任」について考えてみることにしましょう!

上で述べたような会社と取締役の関係を「委任関係」と言います。

民法において、この「委任関係」のことを次のように規定しています。

『委任を受けた者は、委任の本旨に従い、善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う』

つまり、取締役には、

「善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務」

があるということになります。

これを、略して、取締役の「善管注意義務」と言っています。

取締役の「善管注意義務」をもっと分かりやすく言うと、

「会社の経営者として、一般的にこれぐらいは払うであろうと思われる注意をもって管理業務を行わなければならない。」というところになるでしょうか・・・

つまり、

 ■会社の経営が順調にいっているのかどうか

 ■会社の社員が会社のためにちゃんと働いているかどうか

 ■会社に損害を与えるような行為を誰かがしていないかどうか

などを、注意深くチェックしていかなければならないということです。

もし、会社の経営が順調にいっていない場合は、改善策を打ち出し、それを実行に移していくことが必要です。

経営が危機的な状況にあることを知りながら、それに対して何の対策も講じていないとするならば、取締役としての「善管注意義務」を果たしているとはいえないのです。

また、「会社のために働いていない社員」や「会社に損害を与えるような行為をしている者」に対しても、同じように対策を講じる必要があるのです。

もし、それらを黙認し、何の手立ても講じないとするならば、取締役としての「善管注意義務」を果たしていることにはならないのです。

このように、会社の所有者である株主から会社の経営を任されている取締役は、会社に対して「善管注意義務」という義務を負っていることになるのです。

また、「善管注意義務」とよく似た言葉で「忠実義務」という言葉があります。

実は、この2つの言葉の関係について"同質説"と"異質説"があるのですが・・・
次回は、「取締役の義務と責任について。その2」という記事をお送りします。

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