無料メルマガ【成功起業考察】 2010年8月12日配信

本文タイトル:取締役の義務と責任について。その9

設立時の株式会社は、株主=経営陣という会社が多いため、決算後に開催しなければならない株主総会というものを実際には開催していないということも決して珍しいことではありません。

つまり、このような株式会社の場合、「株主総会は、それほど重要な機関ではない!」という言い方もできると思います。

それは、経営陣の意思決定=株主の意思決定でもあるからです。

しかしながら、会社が大きくなって外部からの資本提供を受けるようになり、株主≠経営陣のようになってしまった株式会社は、株主総会が、重要なポジションを確保することになります。

それは、株主総会が、株式会社の組織・運営・管理などの一切に関する最高の意思決定機関であるからです。

今回は、そんな株主総会での話です。

【今回の事例】

毎年この時期になると、A社のB社長は憂鬱になります。

この時期というのは、A社の定時株主総会を開催する時期です。

B社長を憂鬱にする原因は、株主のひとりであるX氏という存在。

このX氏という人物は、とにかく口が達者で、株主総会になると、いつも長々と経営陣の経営方針を批判するのです。

性質が悪いのは、本当にA社の経営を心配しての発言ではなく、「自分という存在感を誇示したい!」というところに、この経営方針批判の意図があるというところです。

ある日、B社長は、X氏の奥さんが、今度新しくアクセサリー店を始めることを耳にしました。

そこでB社長は、毎年、年間の購入予算の枠を決めて、そのアクセサリー店からアクセサリーを購入することを役員会に提案しました。

このX氏の株主総会での発言に同じく閉口していた取締役たちは、B社長の提案に賛成しました。

そして、その旨をX氏に伝えたところ、その年から、株主総会での発言を自粛するようになったのです。

今回の事例は、【特定の株主に対して財産上の利益を供与する行為】に該当し、会社法では、これを禁止しています。

会社法の第百二十条第一項には、次のように規定されています。

『株式会社は、何人に対しても、株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない。』

また、同条の第四項には、次のように規定されています。

『株式会社が第一項の規定に違反して財産上の利益を供与したときは、当該利益を供与をすることに関与した取締役として法務省令で定める者は、当該株式会社に対して、連帯して、供与した利益の価額に相当する額を支払う義務を負う。
ただし、その者がその職務を行うについて注意を怠らなかった
ことを証明した場合は、この限りではない。』

つまり、B社長の提案に賛成した取締役たちも、会社に対して、損害を賠償することが必要だということです。

また、この場合の会社の損害というのは、アクセサリーの購入代金ということになるでしょう。

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