無料メルマガ【成功起業考察】 2010年11月24日配信

本文タイトル:役員の任期を簡単に決めてはいけない理由

今回は、役員の任期を簡単に決めてはいけない理由を説明します。

前回のメルマガを読んでいないと話が見えてこないと思いますので、
読んでない方は前回のメルマガ【忘れがちな株式会社の必須の届出とは?】をお読み下さい。

結論を先に言いますと、それは、役員を【解任】する際に問題が生じる可能性があるからです。

取締役などの役員には任期というものがあります。

「任期」というのは、役員としての職務に就く期間のことです。

そして、その任期の途中で、役員が自ら辞める意志表示をすることが【辞任】であり、株主が総会決議で役員を辞めさせることを【解任】と言います。

役員が辞めたいと思えば自由に【辞任】することが出来ますし、株主総会で決議すれば、役員を自由に【解任】することも出来ます。
※但し、定款などで定めた役員の人数を欠く場合は、後任の役員が決まるまでは、権利義務を有することになります。

でも、冒頭にも書いたように、役員を【解任】する場合には問題が生じる可能性があるのです。

それを、例を使って説明致しましょう。

【参考例】

A氏とB氏は共同で事業を始めるために株式会社を設立した。

株主はA氏1名で、資金の無いB氏は、その事業の知識と経験を買われてA氏と共に取締役に就任した。

しかし、3期目も過ぎたころから、経営方針の食い違いから両者は衝突することが多くなり、次第に、お互いの存在を疎ましく思うようになってきました。

そこで、株主でもあるA氏は、3期目も半分が終わろうとした頃、臨時株主総会の決議としてB氏を解任することにしたのです。

B氏は、会社の為を思っての自分の発言や行動が評価されず解任されてしまったことにどうしても納得が出来ません。

上記の参考例から、取締役の任期を「2年」にしていた場合と、「10年」にしていた場合の違いを見ていきましょう。

任期が「2年」の場合は、B氏の任期の残期間は約半年です。

それに比べて、任期が「10年」の場合は、残期間は「6年半」ということになり、この残期間がポイントとなります。

では、なぜこの「残期間」がポイントとなるのでしょうか?

B氏がいくら解任に納得いかなかったとしても、株主総会で決議した解任を覆すことは出来ません。

しかしながら、その解任の事由に正当性が無い場合には、会社に対して損害賠償を請求できる可能性があるのです。
※解任事由の正当性については、しばし裁判で争われるところです。

そして、損害賠償の算定の基準とされるのが、取締役が解任されなければ在任中及び任期満了時に得られた利益の額であるとされています(大阪高裁昭和56年1月30日判決)。

具体的には、【満期までの役員報酬】【役員報酬】【退職金】に相当する金額になります。
※【役員報酬】【退職金】は、定款の定め等により受け得たといえる場合

つまり、任期の残期間によって支払う金額に雲泥の差が生じるのです。

任期が2年と10年では、この参考例のケースの場合には、6年分の役員報酬分の損害賠償請求額の違いがあるのですから。

どんなに気の合う友人でも、起業当初は同じ方向を向いていたとしても、何年も経つうちにお互いの方向性が異なってくるのはよくあることです。

これは、たとえ兄弟や配偶者であっても、同じことが言えます。

このことを考えると、「役員の任期を簡単に決めてはいけない!」という理由が分かっていただけると思います。

役員同士の関係性を考えた場合、どれくらいの任期にすることが妥当であるのか?

また、万が一、解任するような事態になった場合には、どのように対処すべきなのか?

なども考えておく必要があると思うのです。

例えば、経営方針などの違いから袂を分かつことになったときの取り決めを、まだ円満な状態のうちにお互いに相談して決めておくことなども重要なのではないでしょうか?

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