1株あたりの金額の決め方

1株の金額は、2001年10月1日の商法改正に伴って廃止されるまで額面株式というものがあり、その額面は5万円以上と決まっていました。だからでしょうか、最近設立される会社でも1株を5万円と指定される方も多くいます。これはこれで、昔の最低資本金制度のことを考えると、理にかなった金額であるような気もします。

しかしながら、現在の会社法では、この1株の金額の設定は自由となっており、その額面も記載されることがありません。1株10万円でも構いませんし、1株10円でも構わないわけです。

でも、「1株の金額はいくらでもいい。」と言われたら、いくらにすれば良いか迷ってしまいますよね。

1株あたりの金額は、次の2点の観点からお決めいただければと思います。

1株あたりの金額を決める2つの観点

〔会社の重要事項を株主一人の思い通りに決めるという観点〕

会社の重要事項は、基本的に株主総会で決定することになります。

しかし、株主が複数いる場合、ある1人の株主の思い通りに会社の重要事項を決定したいとなると、その株主は3分の2以上の株式を保有していなければなりません。

例えば、

設立時の資本金が100万円で、発起人(設立時の株主)がA氏・B氏・C氏・D氏の4人がいて、1株あたりに金額を25万円に設定したとします。

A氏・B氏・C氏・D氏は、それぞれ1株ずつ保有することになり、普通決議事項なら2人、特別決議事項なら3人の同意が必要ということになり、もしA氏が会社の重要事項を自分1人の思い通りに決定したいと考えても、それは出来ないことになります。

しかし、1株あたりの金額を10万円にして、A氏が7株保有、B氏・C氏・D氏が1株ずつ保有するということになると、A氏のほぼ思い通りに会社の重要事項を決定することが出来るということになります。
※会社法により初めて定められた『非公開会社において剰余金配当・残余財産分配等につき株主ごとに異なる取り扱いをする規定を置く場合の「4分の3特殊決議(4項特殊決議)」』という決議方法もあります。

このように、ある特定の株主の意思を会社の運営に大きく反映したいと考えるならば、株式の比率がどうなるのかを考えて1株あたりの金額を設定しなければなりません。

増資する時のハードルを考えた時の観点

設立して当面は、会社の価値が変わるものではありませんので、1株あたりの価値も変わらないと考えられます。ですので、第3者から増資をして貰う際には、設立時の1株あたりの金額で出資分の株式を引き渡すということになります。

普通に考えても、設立時の1株あたりの金額が1万円だったのに、増資する際、追加の出資者には「1株5万円になります!」と言われれば、不公平感を感じるのは当然でしょう。
※もちろん、追加の出資者が納得する特段の事情があれば別ですが…。

ですので、当面は、設立時の1株あたりの金額=増資の際の1株あたりの金額ということになります。

では、1株あたりの金額を自由に決められるからといって、1株100万円にすればどうなるでしょうか?

増資する人は、最低でも100万円を出資しなければ株主となることが出来ません。ここまでハードルが高いと、なかなか新たに出資しようという人を見つけることは困難なのではないでしょうか?

だからと言って、1株あたり10円にすると、確かにたくさんの出資者を募るという観点では良いのかもしれませんが、将来的には株券を発行するような会社になるかもしれないというようなことを考えるとあまり特策とも思えません。

上記の2つの観点から考えると、設立時の資本金額が極端に少ない場合は別として、設立時の資本金が100万円以上の場合は、1株あたりの金額は1万円から5万円ぐらいの間が妥当なのではないでしょうか?

以上で、会社設立 学習館 2号館の「株式会社の基本事項を決める際の重要ポイント編」は終了でございます。

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